JAPAN WRITING INSTRUMENT MANUFACTURERS ASSOCIATION
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   ◆ 年末講演会・懇親会2018 ◆

日本筆記具工業会

平成30年度 年末講演会
「世界で最も速く走れる義足~ロボット義足の実用化を目指す~」
   JWIMA恒例の年末講演会を12月3日上野精養軒にて開催いたしました。参加者は約70名。
   今回は、「ロボット義足」や「競技用義足」の開発で話題になっている遠藤謙氏を講師にお招きし、「世界で最も速く走れる義足~ロボット義足の実用化を目指す~」というテーマでお話をいただきましたのでご紹介いたします。
【講演録(抜粋)】
   私は、身近に文具店を営んでいる知り合いがいたり、家族全員が文具好きということもあって、以前より文具にはたいへん興味を持っていました。今回このような場に呼ばれたのは自分だけでなく、家族一同光栄に思っています。
   私は、最終論文等はPCで仕上げますが、研究中は常に自筆でノートに書き、義足イメージも手書きデッサンしています。アメリカに留学中の時はいい筆記具がなく、帰国するたびに日本の筆記具を買いだめしてアメリカに戻っていました。
   私は、最初はホンダのアシモにあこがれてロボット工学を研究するようになりましたが、後輩が骨肉腫で足が不自由になったため、その後輩のために力になろうと義足やロボット義足の研究を始めるようになりました。
   また、外国生活中に凍傷で両足とも義足になったロッククライマーに出会ったこともこの道に入ったきっかけでした。
講師 遠藤 謙氏
   事故などで体の一部を失った方々を一般の人とは違う障害者として見ていますが、失った部分を補うテクノロジーが追いついていないだけだと私は考えています。例えば眼鏡を見てください。本来なら視力障害というものを、眼鏡という技術によって誰もが普通に生活できるようになっており、今ではファッションアイテムにもなっています。私はそのように、義足でもテクノロジーで同様のことができると思っています。
   スポーツの世界で板バネを使った義足はすでに健常者と同じくらい速く走ったり遠くまでジャンプできたりするところまで来ています。ただ、日常生活の細かな部分ではまだ対応しきれていない部分があります。
   ロボット義足も立ったり座ったり、時には人間以上の重いものを持ち上げたりすることができますが、人間には簡単に見える、飛び石を飛んだり、階段を上がったりするのは難しくてできません。これからも、まだまだ両者の研究を重ねていかなければならないと思っています。
   ちょうど2020年は東京パラリンピックがあります。こういう時には身障者のことが話題になって、企業もお金を出してくれます(逆に言うと、こういう時にしかお金が出にくいのは困る)。少しでも話題になればこの業界としても幸いです。義足は身障者のためのもので、健常者は関係ないと思っているかもしれませんが、健常者も年を取ると歩けなくなったりします。テクノロジーを使って、ある特定の障害については、区別がなくなる時代が来る、これが私の夢です。
(了)
長谷川幸洋氏を囲んで、出席した役員と会員で記念撮影

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