JAPAN WRITING INSTRUMENTS MANUFACTURERS ASSOCIATION
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紙についての勉強会

日本筆記具工業会
2014.12.17

紙についての勉強会
報告:ボールペン部会・シャープペンシル部会 部会長 小野 誠
日 時: 12月17日(水)午後3時~5時
場 所: 東京文具工業健保会館(浅草橋)5Fホール
参加者: 13社1法人より33名
講 師: 日本製紙㈱様(5名)、平出紙業㈱様(2名)
<目的>
   技術国際委員会のシャープペンシル部会は「一般用シャープペンシルおよびその芯」のISO規格の新規提案を行い、本年12月承認が決定した。
   またボールペン類ISO 規格のSystematic Review(5年見直し)において3規格の改正方針が決定した。日本がいずれもプロジェクトリーダーとなって原案作成を行うことになるが、来年5月のISO/TC10東京大会の主要議題となるためすでに活動をスタートさせた。
   主課題はいずれも試験用紙に関するもので『国際的に供給可能で、かつ要求性能・品質を正しく評価可能な紙の仕様(スペック)をどう規定するか』である。
   筆記具にとって紙は必要不可欠な相手であるにもかかわらず、相互理解や情報交換はもとより筆記具側からの製紙業界へのアプローチも余りにも稀薄であるのが現実である。そのような背景も含め、特に日本が世界を主導することを目的に「紙についての勉強会」を企画した。
<内容>
   紙の卸業者である中出紙業様(群馬県前橋市)を介して「紙の基礎知識」の講師を引き受けてくださる製紙メーカーとして「日本製紙」様を紹介していただいた。
   講義内容は、あらかじめ募集した委員の質問をベースにしたもので以下の構成であった。
1. 紙の知識として
 1)紙の種類、2)製造工程および原料、3)品質と性能、4)製品の単位と寸法について
2. 筆記具・インクとの関係について
3. 質疑応答とディスカッション 講義の中から印象深いものをいくつか紹介する。
  講義の中から印象深いものをいくつか紹介する。
紙の種類・分類について
   筆記用紙は、分類上、印刷・情報用紙⇒非塗工印刷用紙⇒上級印刷紙⇒に分類される。
   インクと密接に関係するものとしては、新聞紙やその他広告用チラシ、書籍類が圧倒的な量であり、筆記用紙の量の何と少ないことか!
紙の表と裏
   いわゆる紙漉き後、ワイヤ(メッシュ)の隙間から重力により水が落下する時に、上下の脱水量(添加剤も含め)の差と移動の方向性により表裏が生じる。現在は上側からも真空脱水しておりほとんど差が生じない。定義はワイヤに接している側(重力の下側)が裏で、反対側(重力の上側)が表となるので、肉眼での判定方法はワイヤ跡が付いている方が裏。ただしプロでないと分からないそうです。
品 質
   紙の品質(物理的性質)はその含水量により大きく変化し、試験評価における環境条件の[温度,相対湿度]は、それぞれ[23℃±1℃,50%±2%](JIS187)と非常にシビア。やはり環境(特に湿度)の影響を受けるシャープペンシルの芯のJISでもそれぞれ[25℃±2℃,65%±5%]とかなり狭く規定しているが、相対湿度の範囲が全く異なっている。なお、ボールペンは[20℃±15℃,65%±20%]とかなり緩い規格である。
紙の国際市場性について
   製品としての用紙は各国国内での生産消費が主で、日本製紙での輸出入の実績はほとんどないため海外事情に関する詳しい情報は持っていない。
筆記具・インクとの関係
   その滲み状態からサイズ度を評価する試験(Tappi No.12)にロットリング(インクはパーカー社製)を用いている。他に自社による官能評価にも使用(詳細は不明)しているとのことであるが、筆記具側との情報交換としての繋がりはない。
<まとめ>
   13社1法人から33名と予想以上の出席者で、各社の紙への関心の高さの表れであり、大事なペアである紙との相互理解と継続した情報交換の必要性をより一層強く感じた。
   日本製紙㈱の皆様ありがとうございました。ご紹介していただいた平出紙業㈱様に感謝いたします。
   今回は基礎知識を主としており、ISO規格原案作成のための重要課題『世界規模での供給事情とスペック、それと日本との関係』を解決するには、まだまだ勉強が不十分で引き続き勉強会を企画していきたいと思います。以上
以上

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