JAPAN WRITING INSTRUMENTS MANUFACTURERS ASSOCIATION
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   ◆ 第 11 回JWIMA会員研修会 ◆
日本筆記具工業会
2014.10.22
第 11 回 JWIMA会員研修会開催
   本工業会は、10月22日台東区柳橋のベルモントホテルにて、第11回JWIMA会員研修会を開催しました。
   この研修会は、会員同士の情報共有と交流をはかるために毎年実施しており、講座も会員のニーズに合わせて各分野のスペシャリストに講師をお願いしています。
   今回も70名あまりの会員が出席、それぞれの講義に熱心に耳を傾けていました。

研修会テーマと講師
【講座1】 中小企業がいますぐできる売上アップのためのインターネット活用
   中小企業診断士 ㈱スプラム 代表取締役 竹内幸次 氏
  
【講座2】 人間の摩擦係数感度とボールペンの書き心地について
   東京理科大学 理工学部機械工学科 教授 野口 昭治 氏
 
◆ 講座1 中小企業がいますぐできる売上アップのためのインターネット活用 ◆
中小企業診断士・
㈱スプラム 代表取締役 竹内幸次 氏
   中小企業経営者は、自社の問題点や取り巻く環境(外部環境や内部資源)の変化を整理して、経営資源(人、物、金+情報、時間)がどうなっているかを確認、再構成することが必要である。
   最近QBハウスという1,000円でカットしてくれる床屋(シャンプー・顔剃りなし、約10分)があるが、従来の理容室(60分/3,600円)と比べるとどちらが高い価値を生み出しているか。ここでは、時間価値>価格価値となっていることに注目したい。
   中小企業にとっては、Webマーケティングが効果を出しやすく、インターネット人口も世界24億人と言われ、特にアジアでの伸長が著しい。この前TVに出ていた人は、個人でiPadを使って小樽の漁師がその朝水揚げした高級鮮魚を、東京に居ながらiPadの画像を見せて注文を取り、小樽からその日の夕方までにお客さんのところへ直送する商売をやっていた。限定分野での高付加価値戦略とでもいうのか、これもWebマーケティングである。
   ホームページをたくさんの人に見てもらうためには、YahooやGoogleによる検索エンジンでの出現率を高める必要があり、そのためには新聞や雑誌などに自社が取り上げられることなども必要であるが、
   ①目的とターゲットを定めてWebサイトを作り込む、
   ②顧客が検索で使うキーワードを調べ、その使用頻度を高める、
   ③業種、地域など関連優良サイトからのリンクを増やす、
   ④極力頻繁にサイトを更新する など行うと良い。
   また、ブログやフェイスブックなども活用し、サテライト店舗機能を持たせておくとRSS(Rich Site Summary)によって情報配信され、新規顧客との接点が生まれやすい。
   インターネットを活用した電子商取引(Electric Commerce)は年々増えており、2013年でB to Bでは269兆円、B to Cでは11.3兆円と言われている。このECビジネスのメリットは、特に中小企業にとって「取引コストが削減できる」、「新たな顧客を開拓しやすい」などという点が大きい。
   会社や商品を紹介するサイトも、Googleの翻訳機能を用いて簡単に英文で掲載することができ、これによってターゲットの範囲が一挙に世界中に広がる。物流も小さい物であればEMS(国際スピード郵便)で安く早く簡単に送ることができるし、Yahoo Shopであれば出店料も無料となっているので中小企業にお勧めである。中小企業経営者は、今こそイノベーションするときである!
以上

 
◆ 講座2 人間の摩擦係数感度とボールペンの書き心地について ◆
東京理科大学 理工学部 機械工学科
 教授 野口 昭治 氏
   トライボロジーとは、相対運動によって相互作用しあう物体の表面における摩擦、摩耗、潤滑などを科学する一分野である。「ベアリング」もその研究対象になっているが、紀元前2400年のエジプトには既に「すべり軸受け」の起源となるものがあり、紀元前のアッシリアにも「転がり軸受」の起源となるものが発見されている。
   小学校3年生を対象とした摩擦力に関する実験で、それぞれ革、ゴム、綿、化学繊維の手袋をしてパイプを両側から違う方向に回しあい、摩擦の大きかった手袋の素材の順番答えるというもので、小学生の正答率は23.5%であった。同じ実験を大学3年生で行った結果は18.2%で、どちらも2位と3位の間で逆転は無かった。(上位と下位のグループとしての逆転はなかった。)
   ちなみに各素材の平均摩擦係数は、革0.46、ゴム0.41、綿0.28、化学繊維0.22であり、2~3位間差が0.13だったのに対し、1~2位間0.05、3~4位間0.06と差が小さく摩擦係数の違いが分かりにくかったものと考えられる。
   そこで人間の摩擦係数感度に関する実験を行った。ステンレス板の上で銅、テフロン、ステンレス、アルミニウムの試験片をこすり、この時の摩擦係数の大小の順番を感覚で答えてもらい、機械的に測定した動摩擦係数と比べる。順番の正誤からどのくらいの摩擦差まで判断できるか分解能を算出する。
   100名の被験者で実験を行った結果、摩擦係数分解能の平均値はμ=0.066であった。95%信頼度で推定すると0.058≦μ≦0.074となった。
   ボールペンが開発されて70年。昨今、多種多様なボールペンが開発されているが、品質の重要な特性の一つとして「書き心地」の良し悪しがある。摩擦特性がどう書き心地の良さに影響するかは知られておらず、それが分かれば良いボールペンの開発に繋がる。そこで、筆記摩擦係数の測定と書き心地のアンケートを行い、その関連を調べた。
   ボールペンの芯は0.5mmのものを2種類用意し、ボディーは同じもので統一した。100名のアンケートでは、書き心地が良いと判断したのはAが91人で、Bが9人だった。平均動摩擦係数は、Aが0.231、Bが0.298であった。(動摩擦係数の差は0.067)
   その他、動摩擦係数の変動量や静止摩擦係数、摩擦係数の波形が安定するまでの時間にはほとんど差がなかった。この結果、書き心地アンケートで91人が支持したAは、摩擦係数測定結果で差が見られたのは「動摩擦」だけで、その差は平均で0.067であり、先に述べた人間の摩擦係数感度とほぼ一致していた。書き心地は、動摩擦係数で0.067程度向上させないと差が分からないということである。
以上

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