JAPAN WRITING INSTRUMENTS MANUFACTURERS ASSOCIATION
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   ◆ 第 10 回JWIMA会員研修会 ◆
日本筆記具工業会
2013.10.22
第 10 回 JWIMA会員研修会開催
   本工業会は、10月22日台東区柳橋のベルモントホテルにて、第10回JWIMA会員研修会を開催しました。
   この研修会は、会員同士の情報共有と交流をはかるために毎年実施しており、講座も会員のニーズに合わせて各分野のスペシャリストに講師をお願いしています。
   今回も30名あまりの会員が出席、それぞれの講義に熱心に耳を傾けていました。

研修会テーマと講師
◆ 講座1 文化の樹を植える ―「函館蔦屋書店」という冒険- ◆
函館蔦屋書店㈱
      取締役CBO 中山慶祐氏
   蔦屋書店は、1983年に大阪の枚方市に1号店をオープンし、本とレンタルビデオ店のTSUTAYAとして若者から支持を受け、全国にフランチャイズ店を展開していきました。
   その後環境は大きく変わり、企業戦略そのものの見直しが必要となりました。そして、新コンセプト1号店として代官山蔦屋書店ができました。代官山蔦屋書店は、本を買わなくてもコーヒーを飲みながら本が読める書店で、その成功経験とノウハウを生かし、全国中規模都市100店舗展開の先駆けとして、この12月に2号店として函館蔦屋書店をオープンさせることになりました。
   函館蔦屋書店は、函館郊外の函館新道沿いで1万坪の敷地に2階建て約2千坪の床面積を有する店舗で、プレミアエイジ(団塊世代)とその家族(親子3代)をターゲットとして、そこに来ることが楽しくて、人と人とが繋がることができる空間づくりを目指しています。
文具・雑貨に関しては、次のようなコーナーづくりを予定しています。
一般文具 「大人のらくがき」
筆記具、画材、製図用品とジャンルに関係なく、書きたいペンで自由に書けるコーナーを作る。
ノートやスケッチブックなどもいっしょに置く。
ペーパークラフト・ラッピング・フォト 「大人の図画工作」
みんなで作業できるスペースを設け、デジカメもすぐにプリントしてスクラップブッキングできるようにする。
高級文具 「大人の隠れ家」
大人があこがれるような格好いい万年筆やアイテム、こだわりの小物など。
児童文具 「こども大学―書育」
書かなくなってきている子どもたちに、書くことの楽しさ、大切さを伝え、書くことによってコミュニケーション能力、創造力、学習力を育てていく。さらに児童書なども充実させ、机も配置して学べるスペースも設ける。ノートの取り方や使い方なども教えていきたい。
アート 「アートの公園」
世界基準のアートを身近に紹介していく。
女性向け雑貨 「ママのウインドウショッピング」
女性が一番輝くのは、買い物で友人と一緒に好きなお店をめぐるとき。小さなブースを店舗に見立てて、好きなお店で買い物をしていただく。
   最後に、函館の子供たちに「書育」を推進し、書くことの大切さを伝えていきますので、メーカーの皆さんには商品はもちろん、イベントなどにも是非ご協力をお願いします。

◆ 講座2 科学リテラシーの課題 ◆
科学ジャーナリスト・麻布大学非常勤講師
            川口 啓明氏
   リテラシーとは、個人が判断や意思決定、社会関与する際の基礎的な知識・教養を意味し、最近の社会問題では科学的な側面が多く含まれているため、現代人はもっと科学リテラシーを高めていく必要がある。
   BSE(狂牛病)のリスクコミュニケーション(試験機関や消費者、流通、行政などが情報や意見を交換する)のとき自分が説明役で話したところ、「その考えは理解できたけれども納得はできない」と参加者から意見をいただいた。
   つまり、科学的には正しいかも知れないが、何か釈然としないものがわだかまりとして残ったということである。科学リテラシーが向上して内容が理解できたとしても、コミュニケーションがうまく行くとは限らない。
   1960~70年代の消費者像(判断・選択)は、「自分の持っている予算の中で満足を最大にする最適解を選ぶ賢い消費者像」であったが、1980年代に入ると「まあ、この辺りでいいや半合理的な消費選択をする消費者像」へと大きく変化した。
   二重過程理論と呼んでいるが、消費者の行動がシステム1(直感型、即断)とシステム2(論理型、熟慮)の思考モードによって影響を受けて決定されていることが分かった。
システム1
 感情的・直観的・連想的
 素早く大まかな判断
 過去経験による自動的な感情を参照
 イメージや隠喩によってリアリティを得る
 顔と名前を持つ個人の物語から世界を理解する
システム2
 論理的・意識的・分析的
 時間をかけた精緻な判断
 対象に対する意識的評価を参照
 抽象的記号や数字によってリアリティを得る
 統計指標に基づいて世界を理解する
即座の行動に直結しやすい 後の行動のモニターや修正が中心
   日常的判断では、システム1が優先され、人間の行動は理論に基づく判断ではなく、感情や直観の影響が大きい。
   情報発信には、システム1とシステム2の情報発信を組み合わせることが有効である。消費者がより行動に結びつくのはシステム1の判断で、特定の人物が登場し、イメージが浮かぶような物語を提供することである。これによって消費者の思考はリアリティを得、購買行動の動機付けが行われる。それをサポートするのがシステム2で、その科学的論拠に基づく合理的判断で消費者の購買行動を後押しする。
   日常生活では様々なリスクが話題になるが、新しいリスクに対してはほとんどの人が素人レベルで、その問題を理解するためには、その分野の勉強努力によって科学リテラシーを高めるしかない。
   そして、システム1で即断していないか、またその判断をシステム2で検証しているかなど、自分の判断が間違っている可能性を意識することが大切である。
以上

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